森から、
八ヶ岳の最高峰へ。
白駒池から赤岳まで、5つのステップ
八ヶ岳の最高峰・赤岳を、いつか自分の足で登ってみたい。そう思いながら、なかなか踏み出せずにいる方は多いと思います。体力に自信がない。岩場が不安。山小屋泊をしたことがない。そういう気持ちは、とても自然なことだと思います。
この記事は「最短で赤岳に登る」ためのものではありません。森から始まり、急な登りで体力をつけ、岩場を覚え、山小屋泊を重ねながら、八ヶ岳を少しずつ深く歩いていくための5つのステップです。
八ヶ岳の「2つのステップアップ」
小・中学生は、岩場を楽しんで登れることが多いので、体力のステップを中心に考えます。大人の方、特に年配の方は、体力に余裕があっても、岩場は一段ずつ進むのがおすすめです。
5つのステップ
押すと、それぞれのくわしい説明に移ります。体力の数字は、1日ごとの体力の目安です(🟢10未満・🟡10〜19・🟠20〜29)、岩場の点は岩場の多さです。それぞれのステップに、同じくらいのコースも並べています。
STEP 1森を歩く白駒池・高見石・日帰り体力6🟢岩場ほかに:北横岳、入笠山
STEP 2急な登りに挑戦縞枯山・茶臼山・日帰り体力10🟡岩場ほかに:にゅう、蓼科山(7合目から)
STEP 3山小屋に泊まる天狗岳(渋の湯から往復)・1泊2日体力1日目 11🟡 2日目 13🟡岩場ほかに:白駒池から天狗岳へ、白駒池から縞枯山へ、北横岳・双子池・蓼科山
STEP 4稜線を歩く硫黄岳〜横岳・1泊2日体力1日目 18🟡 2日目 16🟡岩場
STEP 5八ヶ岳の最高峰へ赤岳(赤岳天望荘泊)・1泊2日体力1日目 25🟠 2日目 15🟡岩場
地図で見る5つのステップ
北八ヶ岳の森から、南八ヶ岳の赤岳へ。下のボタンを押すと、そのコースの道が出たり消えたりします。点線は「同じステップで選べるコース」です。地図の番号を押すと、コースの名前が出ます。広げて見るときは、地図の+−で。
STEP1山の楽しさを知る森を歩く白駒池・高見石
- 苔の森
- 湖
- 展望の岩

- 体力6🟢
- 岩場 少し
- 行程日帰り
まずは、標高2,000メートルを超える北八ヶ岳の森から。
白駒池のまわりに広がる苔の森は、歩くたびに足元の感触が変わります。湿った岩、倒木の上に積み重なった何十年分もの苔、光の差し込み方。急いで歩けば通り過ぎてしまうものばかりです。
高見石への最後の登りで、少し岩が出てきます。そこを越えると、眼下に白駒池が広がります。「自分の足で、ここまで来た」という感覚を、まず体で知ってほしい。それがSTEP 1です。
このステップで身につくこと:ゆっくり歩くペース。木の根や小さな岩の段差。
白駒池・高見石のコースを見る ›同じステップで選べるコース
同じくらいのやさしさで、ロープウェイやゴンドラで上がれる山もあります。3つの違いは「八ヶ岳 初心者におすすめのコース3選」でくわしく紹介しています。
STEP2体力をつける急な登りに挑戦縞枯山・茶臼山
- ロープウェイ
- 急な登り
- 縞枯れの森
- 展望台

- 体力10🟡
- 岩場 少し
- 行程日帰り
ロープウェイを降りた坪庭から、縞枯山と茶臼山の二つの頂をめぐります。立ち枯れの木が縞模様に並ぶ「縞枯れ」の森と、茶臼山の展望台。北八ヶ岳らしい静かな景色が続きます。
STEP 1より歩く距離も登りも増えます。そして縞枯山への登りは、このあとのステップにもないほどの急な登りです。ここで、息が上がらないペース配分や、急な登り下りでの足の置き方を、歩きながら体に覚えていきます。体力のステップを、一段上がる日です。
このステップで身につくこと:疲れにくいペース配分。急な登りと下りの歩き方。
縞枯山・茶臼山のコースを見る ›同じステップで選べるコース
同じステップで、岩や木の根の道に慣れておきたい方には、こちらも。
STEP3森林限界の岩場に出会う山小屋に泊まる天狗岳(渋の湯から往復)
- はじめての山小屋泊
- はじめての岩場
- バスで行ける

- 体力1日目 11🟡 2日目 13🟡
- 岩場 あり
- 行程1泊2日
ここから、山小屋に泊まる登山になります。
1日目は、渋の湯から苔むす森を登って黒百合ヒュッテへ。2日目は、大きな荷物をヒュッテに置いて、森林限界を超えた火山岩の岩場を越え、東天狗岳に立ちます。ヒュッテに戻って昼食をとってから、同じ道を下ります。
はじめての岩場は、身軽になって、往復で歩きます。足の置き場や体の重心の移し方を、一つずつ確かめながら進みます。茅野駅からバスで行けるのも、このコースのよいところです。
このステップで身につくこと:山小屋泊の過ごし方。森林限界の岩場の歩き方。
天狗岳(渋の湯から往復)のコースを見る ›STEP4長い稜線と岩場稜線を歩く硫黄岳〜横岳
- 森林限界の稜線
- 爆裂火口
- 高山植物

- 体力1日目 18🟡 2日目 16🟡
- 岩場 続く
- 行程1泊2日
桜平からオーレン小屋の森を抜けて、硫黄岳へ。森林限界を超えて稜線に出ると、風が強くなり、ハイマツが低くなり、岩がむき出しになっていきます。山頂の爆裂火口は、八ヶ岳がかつて火山だったことを体で感じさせてくれます。
硫黄岳山荘に泊まり、2日目は高山植物の咲く横岳の稜線へ。岩場が続く道を、長い時間歩き続けます。日帰りでは経験できない、稜線の一日です。
このステップで身につくこと:風の強い稜線での体力の使い方。続く岩場。
硫黄岳〜横岳のコースを見る ›STEP5ここまでの集大成八ヶ岳の最高峰へ赤岳(赤岳天望荘泊)
- 八ヶ岳の最高峰
- 稜線の山小屋
- 夕日と朝日

- 体力1日目 25🟠 2日目 15🟡
- 岩場 続く
- 行程1泊2日
いよいよ、赤岳へ。美濃戸口から北沢・地蔵尾根を登り、稜線の赤岳天望荘に泊まります。夕日と朝日を眺め、2日目は文三郎尾根から南沢を下ります。山頂に立つチャンスは、1日目と2日目の2回あります。
山頂の手前の岩場は傾斜があります。それでも、ここまで歩いてきた方であれば、知っている動きの積み重ねで登れます。森の歩き方、岩場での足の置き方、稜線での体力の使い方——STEP 1から歩いてきたことが、ここで静かにつながります。
山頂に立つと、歩いてきた景色が見えます。北には蓼科山の丸い山頂、硫黄岳の爆裂火口の縁、北八ヶ岳の森の稜線。いきなり来た赤岳とは、きっと違う山頂だと思います。
このステップで身につくこと:ここまでのすべて。
赤岳(赤岳天望荘泊)のコースを見る ›八ヶ岳を、
少しずつ深く歩く
STEP 3や4まででも、八ヶ岳登山の魅力は十分に味わえます。赤岳まで行かなくても、それぞれのステップに、それぞれの山があります。
焦らなくていい。2〜3年かけて少しずつ歩いていくことで、同じ稜線が以前とは違って見えてくることがあります。それがこの山域の面白さだと、私は思っています。

