【自家製醤油2026】第2回:100Lの大釜と、お風呂場の「麹室」。準備編②

パチパチと小麦を炒る音から始まった、わが家の醤油作り。 14kgという途方もない量の小麦をフライパンで炒る作業は、結局1週間ほどかけてコツコツと進めました。少しだけ娘の手も借りながら、香ばしい匂いに包まれる夜を重ね、ようやく次の工程へと進みます。

菌の居場所を整える「粗引き」

炒り上がった小麦は、製粉機にかけます。ここで目指すのは、サラサラの粉ではなく「1粒が3、4つに割れる」くらいのイメージです。

これには大切な理由があります。あまりに粗すぎると粉状の割合が少なくなってしまい、後で大豆と混ぜ合わせたときに、大豆の表面をうまくコーティングできなくなってしまうのです。
小麦の粉でしっかり包むことで、納豆菌などの繁殖を抑え、醤油のための「麹菌」が育ちやすい環境を作ります。

大豆の洗豆と12時間の浸水

小麦の準備が整ったら、次はいよいよ大豆14kgの出番です。
大豆を洗う2日前には、50リットルほどの水道水を大きな樽に汲み置きしておきます。
カルキを抜くためです。

そして前日の夜。用意しておいた水を使って大豆を3回丁寧に洗い、そのまま一晩、12時間ほど浸水させます。乾燥して硬かった豆が、春の夜の静けさの中でゆっくりと水を吸い、ふっくらと目覚めていくのを静かに待ちます。

100Lの大釜を庭に

わが家の庭には、この時期になると主役級の存在感を放つ道具が登場します。
直径53センチ、深さ45センチ。
なみなみと注げば100リットルは入るであろう大釜です。

これだけの量の大豆を一気に茹で上げるには、この釜の力が欠かせません。
庭に移動式の鉄枠のかまどを置き、大釜を載せる。火床を整え、どっしりと釜を据える。
このセッティングを終えると、いよいよ大きな仕込みが始まるのだと、目に見える形で作戦会議が始まるような高揚感があります。

お風呂場が「麹室(こうじむろ)」に変わる日

豆が水を吸い、庭の釜が据わったところで、もうひとつの重要な準備を進めます。
それが「麹室」のセッティングです。

わが家の麹室は、実はお風呂場。
蓋をした湯船の上に、友人である木工職人に作ってもらった専用の棚を設置します。
ここに、同じく、その友人が作ってくれた10枚の「麹箱」が並びます。

これから4日間、この空間を25〜28℃の間に保ち、麹菌の成長を見守らなければなりません。
熱源には400Wと800Wの切り替えができるハロゲンヒーター。
壁側には調湿効果を狙って、ダンボールや木の板を数枚。
専用の機材がなくても、身の回りにあるものと仲間の知恵を借りて、最適な環境を整えていく。
これもまた、自給自足の醍醐味です。

お風呂場に棚が組み上がり、庭に大釜が据わると、「今年もいよいよ始まるなぁ」と、スッと気が引き締まります。

明日はついに、水を含んだ14kgの大豆を茹で上げ、小麦と合わせる大一番。
温度と湿度、そして菌との対話が始まります。


【2026年・自家製醤油作りシリーズ】

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